茶どころ京都の中でも府産茶葉の約45%を占める、最大の生産地が和束町です。
町のほぼ全域に茶畑が広がり、緑に包まれる景観は「茶源郷」といわれています。
隣接する宇治田原町には永谷宗円の生家があり、お茶づくしの旅が楽しめます。
町境の真新しいトンネルを抜けると茶源郷であった
京都市方面から和束町へ行くには、道幅が狭く急カーブの多い犬打峠を通らねばなりませんでした。交通の難所を解消するべく、8年がかりで工事が進められた鷲峰山トンネルが令和7年2月に完成し、お出掛けが便利かつ快適になりました。
さて、和束町の各地区は一面茶畑で、その隙間を埋めるように民家が並んでいるといった風情です。中でも京都府の景観資産第1号に指定された「石寺の茶畑」は、誰が写真を撮ってもサマになるほど見事な眺めが堪能できます。茶話vol.14でご紹介した「グリーンスローモビリティ」でのんびり巡れば、命の洗濯になることうけあいです。
他にも白栖、撰原、釜塚の茶畑が見て歩きにおすすめのスポットです。なお、珍しい円形茶園のある原山地区は、道路が狭く観光客が多く訪れると生産の妨げになるため、立入禁止になっています。

- 弥勒磨崖仏(長井の弥勒さん)
白栖地区の和束川沿い山手にたたずむ石仏。巨岩に彫られた高さ3.3mの弥勒菩薩像には正安2(1300)年の銘があり、700年以上前に彫られたとは思えないほどきれいな状態で町を見守っています。バス通りや和束川の対岸からその姿が拝めます。
- 和束茶カフェ
地元産のお茶をふんだんに使ったスイーツや食事ができます。煎茶・かぶせ茶・和紅茶の飲み比べセットもおすすめ。レンタサイクルの貸し出しも行っています。
営業時間:10:00~17:00 (16:00 L.O) 年末年始休
場所:京都府相楽郡和束町白栖大狭間35(奈良交通「和束山の家」下車、徒歩4分)
電話:0774-78-4180

- 京都和束荘
「お茶を五感で愉しむ」がコンセプトで、煎茶のお茶風呂に浸かってお茶の会席料理をいただき、翌朝もお茶で始まるお茶づくしの宿です。
場所:和束町大字白栖小字猪ヶ口25-5 (奈良交通「和束山の家」下車、徒歩8分)
電話:0774-78-2603
- 和束町観光案内所
営業時間:9:00~17:00 年末年始休
場所:和束町釡塚京町19(奈良交通「中和束」下車、徒歩3分)
電話:0774-78-0300
※グリーンスローモビリティの問合せ・予約も受け付けています。
ハート型の地形にお茶愛あふれる、宇治田原町
京都府南東部、宇治市と和束町の間に位置するハート形の町が「宇治田原町」です。
西の玄関口に当たる郷之口には、京都と滋賀を結ぶ信楽街道に沿って古民家が建ち並び、風情ある景観が楽しめます。茶舗や土産の店も点在し、集落内には安土桃山時代に築かれた山口城跡や蕪村句碑の立つ妙楽寺などがあります。
- 永谷宗円生家
宇治田原町では鎌倉時代から茶栽培が始まりましたが、元文3(1738)年に永谷宗円が「青製煎茶製法」を開発。緑茶の製法が日本中に広がりました。宗円が生まれ育った地には石垣などが残り、母屋のあった場所には昭和35年に茅葺きの生家が再建されています。内部には当時の製茶に使用された焙炉跡が保存され、映像や資料で宗円の功績やお茶の製法を学べます。
町の中心地で、生家をはじめ商家・古民家が並ぶ湯屋谷は、いにしえの情緒たっぷりで日本遺産第1号に認定されています。
開館時間:外観の見学は自由 内部見学は土・日・祝日の10:00~15:00
内部見学:維持管理協力金200円
場所:京都府綴喜郡宇治田原町湯屋谷空廣
電話:0774-88-6638(宇治田原町役場 産業観光課)

- 茶宗明神社
永谷宗円生家に隣接する、宗円を祀った神社。杉木立と苔むした石垣に囲まれ、全国から茶業者がお参りに訪れます。
- 宗円交遊庵やんたん
湯屋谷の共同製茶場跡をリノベーションした宇治田原町の観光交流拠点。茶葉や茶器、地場産品などを販売し、併設の「あばんずキッチン」ではお茶料理やスイーツをいただけます。抹茶の石臼挽き、京番茶づくり、茶香服などの体験も可。
営業時間:10:00~17:00(11~2月は16:00まで) 水・木休
場所:宇治田原町湯屋谷尾華21
電話:0774-46-8864
訪問するときに気を付けたいこと
茶畑は農家さんの私有地ですから、無断で入ってはいけません。外から眺めてください。また、茶葉や茶の生産に使う道具類に触ったり、農作業中の方々に近寄って写真を撮らないでください。作業中の方を撮りたい場合は、必ず事前に声をかけて了承を得、迷惑のかからないようにしてください。路上駐車・ゴミのポイ捨ては厳禁。美しい原風景を守るためにマナーを守りましょう。
CHABANASHI いかがでしたか?
暮らしを彩る「ちょっとタメになる話」になっていたら幸いです。
さまざま角度からお茶の魅力を伝えていきますので、次のお話もどうぞお楽しみに。
今日はこれまで。
ほな、さいなら。